新内節を勉強する宣言

大阪大学豊中キャンパスでのメディア文化論講義/音楽学講義「日本の伝統音楽芸能と視聴覚メディア」に、新内節の研進派三代目家元の新内志賀さんをお迎えして、たいへん貴重なお話をいただきました。

最後に三勝半七のサワリをご紹介いただきました。文13教室という音楽上演に適した小さな講義室で、ほっこりとお座敷気分に浸ることができました。全身が楽器になっている新内志賀さん・・・素晴らし過ぎました。

かつてご参加されたカセットテープの箱の写真や、岡本文弥さんが手作りで販売していたカセットテープの写真など、貴重なメディア資料を見せて頂きました。

心に残ったのは、先代の新内志賀さんが依頼されて録音したときに、LPやカセットテープの録音のために新内の曲を内容をも含めて整理されたというお話。また、レコード会社がさまざまなジャンルの三味線の演奏者たちを引き合わせる媒介になっていたお話。そして、新内は視覚メディアでは表現できない要素を多く持つがゆえに視覚中心の時代のメディアに乗り切れなかったのではないかというお話・・・いずれも伝統音楽研究のメディア論的な醍醐味が詰まったお話です。

不詳私メ、4月より義太夫節の三味線のお稽古を始めたところですが、新内節はどこか深いところで美しき対局にあるように思われました。とくに流しの演奏をするために用いる「コバチ(小撥)」。下の左の写真は、左がコバチで右が通常の撥。右の写真のように、コバチは通常の撥とは反対に持つのが愛らしいです。そしてサイズが異なるだけではなく、コバチで弾くとコバチな音がします。これが太棹の義太夫三味線とは対極に感じられる「存在の耐えられない軽さ」の美学のような気がいたしました。。。

 

岡本文弥さん、平岡正明さんを越える「新内的」な何ものかを文字化してみたいと考えました。あと10年くらいかけて、田邊尚雄の三味線の理論に取り組んでみたいと思います。

下の写真は、ご講義後に大阪大学待兼山会館レストラン トンカツ&カレー専門店「LIBRE(リブレ)」 にて、ミックスフライ定食の前で寛がれる、夏の装いの新内志賀さんです。

ちょうど2年前に鈴木昭男さんと宮北裕美さんをこちらへお招きして、同じメニューを食べたことを思い出しました。そして鈴木昭男さんともプライベートでコラボしたことがおありという新内志賀さんには、伝統音楽のなんたるかを学ばせて頂きました。