【速報】フランスの「音声アーカイヴ」がユネスコの2025年の「世界の記憶」に登録されました！
昨日、フランスの「音声アーカイヴ」がユネスコの2025年の「世界の記憶」に正式に登録されました。（2025年4月17日）
これまで、初期の録音アーカイヴとしては、ベルリンとウィーンの録音アーカイヴのみが登録されており、フランスの音声アーカイヴの存在は知られていませんでした。
同アーカイヴの後継機関であるフランス国立図書館の音・ビデオ・マルチメディア部には、貴重な20世紀初頭の日本語や日本の音楽の録音も残されており、デジタル図書館ガリカですべて聞くことができます。（例：https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k1311058p）
「音声アーカイヴ」（＆音声博物館）についてのパスカル・コルドレクスによる論文２本、面白いので是非お読みください！不肖の邦訳あります。
Pascal Cordereix, « Ferdinand Brunot, le phonographe et les « patois »», Le Monde alpin et rhodanien. Revue régionale d’ethnologie Année 2001 29-1-3 pp. 39-54, URL https://www.persee.fr/doc/mar_0758-4431_2001_num_29_1_1729
（邦訳）パスカル・コルドレクス「フェルディナン・ブリュノ : フォノグラフと「方言」（パトワ)」URL : https://doi.org/10.18910/94806
（上記の続編）
Pascal Cordereix, « Les enregistrements du musée de la Parole et du Geste à lʼExposition coloniale. Entre science, propagande et commerce », Vingtième siècle. Revue d’histoire, Paris ： Presses de Sciences Po, 2006, 4/92, p. 47－59）
（邦訳）パスカル・コルドレクス「パリ植民地博覧会における音声博物館の録音資料：学術とプロパガンダと商業のあいだで」URL : https://researchmap.jp/perca912/misc/35793338
ちなみに、アルベール・カーンのArchives de la Planète 地球映像アーカイヴも同時に登録されるという快挙。実はあちらも書類を出していると聞いていたので、ライバルだと思って心配しておりましたが（というよりも素晴らしいので負けるかと思っていた）、同時に登録とはユネスコも粋な計らいです。実際、この二つは公私で補完的な存在なのです。
実は昨日、私は大阪大学の留学生向けの英語の授業で、偶然、この話をすることになっていました。
そして、参加していた学生たちは、フランスより先にこのニュースを知ることになりました！
というボジョレー・ヌーヴォー的な事件がありました。
同アーカイヴには、日本で1934年に編纂された伊庭孝のSP『日本音楽史』が
同じ年に購入されており、それもデジタル化されているのを聴くことができます。
『日本音楽史』「久米歌」
上記で『日本音楽史』のすべての録音を聞くことができますが、以下のようにLPにもなっていますので、この機会にデジタル化の運動をおこしたいと思います。
1-A: 久米歌 多忠龍 ; 東儀民四郎 ; 多重雄 ; 東儀和太郎
歌披講 「君が代」 大原重雄
管絃 「蘭陵王」 （半帖） 東儀和太郎 ; 白井貞雄 ; 多重雄 ; 皃島吉太郎 ; 大原重明 ; 近衛直磨 ; 多忠龍 ; 東儀民四郎 ; 押田良久
催馬楽 「席田」 多忠龍 ; 大原重明 ; 東儀和太郎 ; 近衛直磨 ; 東儀民四郎 ; 多重雄 ; 東儀民四郎
声明 「涅槃講式」 小野塚興澄
礼讃 「三尊礼」 増上寺法式会員
平曲 「弓流」 湯淺半月
奥浄瑠璃 「牛若東下り」 石垣勇榮
狂言小歌 「北嵯峨」「あか月」 野村万斎
拍子入独吟 「羽衣」 北六平太 ; 寺井政数 ; 瀬尾潔 ; 安福春雄 ; 金春惣右衛門
2-A: 箏組歌 「菜蕗組」 富崎春昇
三味線組歌 「琉球組」 山口厳
めりやす 「無間の鐘」 富士田薪蔵 ; 杵屋榮三
荻江節 「短か夜」 荻江壽々子 ; 荻江章子
尺八本曲 「虚空鈴慕」 川瀬順輔
一節切 「小児」 藤田鈴朗
一中節 「夕霞浅間嶽」 都一梅 ; 都一花
河東節 「助六所縁江戸桜」 山彦米子 ; 山彦秀子 ; 山彦八重子
繁太夫節 「橋づくし」 富崎春昇
薗八節 「鳥辺山」 宮薗千香 ; 宮薗千秀
