近現代日本の音楽研究者たちの夢:近世箏曲における東西接触のミッシングリンク

6月22日(土)、大阪大学で開催される18世紀学会(https://jsecs.smoosy.atlas.jp/ja/next_conferenceの余興でレクチャーコンサートをいたします。
箏奏者・片岡リサさん(大阪音楽大学准教授/阪大音楽学博士前期課程修了)と、音楽学のB4に在籍中の久米羽奏さん(&大阪大学合唱団TEMPESTの皆さん)にご協力を頂き、他では絶対に聴くことができない不思議な「夢」の演奏が行なわれます。どなたでも入場無料でお入りいただけます。どうぞお誘いあわせのうえお運びください。
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レクチャーコンサート
「近世箏曲における東西接触のミッシングリンク:近現代日本の音楽研究者たちの夢」
日時:6月22日(土)  16:45~18:15
会場:南部陽一郎ホール(ローソン裏手より2階へ)

https://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/nambu-hall/#access

日本における西洋音楽の受容は明治維新以降と考えられがちであるが、それ以前にも16世紀のキリスト教伝来とともに西洋音楽は伝わっており、長崎にはラテン語聖歌が土着化した「オラショ(祈り)」が現在にまで残っている。しかし日本音楽において他に東西交流があったかどうかは不明で、日本音楽史研究では17世紀から18世紀を、箏・三味線による「伝統音楽」が定着する「鎖国」時代と捉える傾向がある。

大正期から昭和初期にかけて、日本音楽研究の基礎を構築した田辺尚雄は、17世紀に作曲されたといわれる箏のみの器楽曲《六段》を、大陸由来のものと見做した。なぜならそれまでの箏曲は、必ず歌を伴う声楽曲であったからである。戦前に東京帝国大学で田辺の授業に出席していた作曲家の柴田南雄は、戦後、《六段》とスペインで発達した変奏形式ディフェレンシアスとのつながりを指摘した。そして近年、西洋音楽研究者の皆川達夫は、《六段》とグレゴリオ聖歌の《クレド》との影響関係を指摘した。

これらの見解に、東西交流を跡付ける決定的な史料はない。本レクチャーコンサートは、こうした近現代の音楽研究者たちが近世箏曲における東西接触のミッシングリンクに見た夢を、実体験する機会を提供するものである。

出演者
レクチャー 鈴木聖子(大阪大学人文学研究科)
箏 片岡リサ(大阪音楽大学)
十七絃 十七絃 橋本桂子(大阪音楽大学)
合唱 大阪大学合唱団TEMPEST

笙 鈴木聖子